高性能なBTOパソコンが届いた。RTX 5080やRTX 5090を搭載している。でも、そこから何をすればローカルLLMが動くのか分からない。
この記事では、そんな状態から実際にローカルモデルと会話し、GPUで処理されていることを確認するところまでを順番に進めます。
2026年現在、ローカルLLMを始めるために、最初からPython環境やCUDA Toolkitを手作業で構築する必要はありません。Ollamaのようなツールを使えば、モデルのダウンロードから実行までかなり簡単に始められます。
重要なのは、最初から最も大きなモデルを動かそうとしないことです。まず軽量なモデルで、
- GPUが認識されている
- Ollamaが動く
- モデルと会話できる
- GPUで推論できている
という4つを確認します。大きなモデルを選ぶのは、その後です。
1.結論:最初のゴールは「ローカルAIがGPUで動いた」にする
ローカルLLMを始めると、
- 「何Bのモデルがいいのか」
- 「量子化は?」
- 「32GB VRAMなら何が動く?」
- 「Open WebUIは必要?」
と、いきなり多くの選択肢が出てきます。しかし最初から全部理解する必要はありません。
最初のゴールはひとつです。自分のPCで、ひとつのローカルモデルが正常に動くこと。ここまで成功すれば、その後に、
- もっと大きなモデルを試す
- 日本語が得意なモデルを比較する
- PDFや資料と会話する
- APIから呼び出す
- AIコーディングへ接続する
といくらでも発展できます。この記事では、まずその「最初の成功」まで最短距離で進みます。
2.今回の前提環境
この記事では主に以下の環境を前提にします。
- Windows 10 / 11
- NVIDIA GeForce RTX搭載PC
- BTOまたは自作デスクトップ
- Ollama
Ollama自体はNVIDIA以外の環境にも対応していますが、CORE SPECではRTX搭載PCを中心に説明します。
💡 ネットワーク接続に関する注意点
モデルのダウンロードにはインターネット接続が必要です。ローカルモデルのダウンロード後はローカル実行だけで利用することもできますが、Ollama Cloudなどのクラウドモデルや外部サービスとの連携を使う場合は通信が発生します。「Ollamaを使う=すべてが常に完全オフライン」ではありません。ローカル処理を重視する場合は、使用しているモデルと接続先を確認してください。
3.Step 1:まずGPUがWindowsから認識されているか確認する
最初に確認するのはLLMではありません。GPUです。
タスクマネージャーで確認
Ctrl + Shift + Esc からタスクマネージャーを開き、パフォーマンス → GPU を確認します。搭載したGPU名と専用GPUメモリ(例: 16.0 GB、32.0 GBなど)が表示されていれば、Windows側からGPUは正しく認識されています。
PowerShellから確認
より正確に確認するなら、PowerShellを開いて以下を実行します。
GPU名、ドライババージョン、VRAM使用量などが表形式で表示されれば第一段階はクリアです。
⚠️ nvidia-smi が動かない場合
まずNVIDIAドライバを確認してください。BTOパソコンでは出荷時にドライバが入っていることが多いですが、初期化直後やモデルによって入っていない場合もあります。
重要なのは、CUDA Toolkitを手作業で入れ始める前に、まずGPUドライバとOllamaだけで試すことです。ローカルLLMを「使う」だけなら、開発環境を最初から複雑にする必要はありません。
4.Step 2:Ollamaをインストールする
次にOllamaを導入します。Ollama公式サイト(ollama.com)からWindows版をダウンロードし、インストーラーを実行します。
2026年現在のOllamaは、ターミナルだけのツールではありません。Windows / macOSにはデスクトップアプリがあり、以下の操作をGUIから始められます。
- モデルのダウンロード
- GUIチャット
- ファイルを使った質問
インストール後、まずOllamaアプリを起動できれば準備完了です。ターミナルから確認したい場合はPowerShellで以下を実行します。
ollama version x.x.x
バージョン番号が表示されれば、Ollamaが正常に利用できる状態です。
5.Step 3:最初は軽量モデルを1つ動かす
ここで重要なのは、自分のGPUで動く最大モデルを探さないことです。最初は動作確認用として、小さめのモデルをひとつ選びます。この記事では例として Gemma 3 4B を使います。
※モデルのラインナップは時期によって変わるため、「Gemma 3 4Bが絶対的なおすすめ」という意味ではありません。あくまでローカルLLM環境が正常に動いているか確認するためのテスト用モデルです。
GUIで始める場合
Ollamaアプリからモデルを選び、ダウンロードしてチャットを開始します。例えば、
「ローカルLLMが正常に動いているか確認するため、短い日本語で自己紹介してください」
と入力し、回答が返ってくればローカルモデルの起動は成功です。
CLI(PowerShell)で始める場合
PowerShellから以下を実行します。
モデルが未ダウンロードなら自動的に取得され、その後に対話プロンプトが起動します。プロンプトが表示されたら、以下のように入力します。
こんにちは!私はローカル環境で動作する言語モデルです。文章の作成や要約、質問への回答などをお手伝いできます。
回答が返ってくれば成功です(終了時は /bye と入力します)。
6.Step 4:GPUが実際に使われているか確認する
「返事が来た」だけでは、GPUを十分に活用できているかまでは分かりません。別のPowerShellを開き、以下を実行してください。
NAME SIZE PROCESSOR UNTIL
gemma3:4b 3.3 GB 100% GPU 4 minutes from now
実行中のモデルと、CPU/GPUへの配置状況を確認できます。小さなモデルでGPU側へ十分収まっている場合は、100% GPU と表示され、GPU中心で高速実行されます。
モデルが大きくVRAMへ収まりきらない場合は、CPU側へ一部処理が回ることがあります。ここで重要なのは、CPUを使ったら失敗なのではないということです。CPU offloadを使うことで、VRAM容量を超えるモデルでも低速ながら動作させることが可能です。
ただし、
- 応答が極端に遅い
- GPUへ載せたいのにCPU比率が高い
- メモリ不足エラーになる
のであれば、モデルを小さくする、またはより大きなVRAM容量のGPUを検討するという次の判断へ進みます。
7.VRAMごとに「このモデル」と固定しない
ローカルLLMでは、「8GBなら4B」「16GBなら14B」「32GBなら32B」のような早見表をよく見かけます。しかし必要なVRAMは、パラメータ数(B数)だけでは決まりません。
- 量子化(Q4_K_M, Q8_0, FP16等)
- コンテキスト長(4k, 8k, 32k, 128k等)
- KVキャッシュの消費量
- モデルアーキテクチャ(Dense vs MoE)
- GPUへ載せる割合(GPU Offload率)
によって、実際に消費されるVRAMは大きく変動します。したがってこのセットアップ記事では、最初の1モデルを動かすところまでに集中します。
自分のVRAMでどのモデルをどの程度動かせるのかを詳しく知りたい場合は、CORE SPECのローカルLLM完全ガイドまたはVRAM診断へ進んでください。
8.OllamaとLM Studioは「CLIかGUIか」だけの違いではなくなった
以前は「Ollama=CLI、LM Studio=GUI」と説明すると分かりやすい時期がありました。しかし2026年現在はOllamaにも洗練されたデスクトップアプリが提供されています。そのため現在は、次のように役割を整理する方が実態に合っています。
Ollamaが向いている人
- とにかく手軽にローカルモデルを動かしたい
- API(localhost:11434)から利用したい
- Pythonスクリプトや自作アプリと接続したい
- Claude CodeやCodex等のコーディングツールと接続したい
- GUIとCLIを自由に行き来したい
LM Studioが向いている人
- GUI上でHugging Faceの多数のモデルを探したい
- モデルや量子化の違いを横並びで比較したい
- ローカルモデルの管理を視覚的に行いたい
- GUI中心でローカルAPIサーバーも動かしたい
どちらか一方だけに決める必要はありません。目的に応じて両方を使い分けるのが合理的です。
9.「動いた!」の次にできること
ローカルLLMが正常に動けば、PCは単なるチャットマシンではなく、ローカル推論基盤になります。
自分の資料と会話する(ファイルチャット・RAG)
Ollamaアプリではファイルを使ったチャットが可能です。さらに本格的なRAG(検索拡張生成)環境へ進みたい場合は、Open WebUIなどを組み合わせる方法があります。
ただし、「PDFを入れれば自動的に高精度な社内検索エンジンになる」わけではありません。文書量、埋め込みモデル(Embedding)、検索チャンク設計、コンテキスト長などによって回答精度は大きく変わります。
APIから呼び出す
Ollamaはバックグラウンド(http://localhost:11434)でローカルAPIを提供します。OpenAI APIと互換性のあるインターフェースが用意されているため、既存のPythonコードやアプリからローカルモデルを簡単に呼び出せます。「AIを使う」から「AIを自分のツールに組み込む」へステップアップできます。
AIコーディングへ接続する
現在のOllamaは、Claude CodeやCodexなどのコーディング支援ツールとローカルモデルを接続する仕組みも整っています。ただし、AIコーディングでは長大なコンテキスト長や推論能力が要求されるため、単純な短文チャットよりも必要VRAMが大きくなります。まず軽量モデルで環境を確認した後に進むのが安全です。
10.よくあるトラブル
ollama ps でPROCESSOR欄を確認してください。11.ローカルAIで大事なのは「最大モデル」ではなく「自分の用途」
最初に軽量モデルが動いたとしても、すぐに最上位のRTX 5090が必要になるわけではありません。逆に、現在のGPUで、
- 使いたいモデルがVRAMに収まらない
- CPU offloadによって待ち時間が大きすぎる
- 長大なコンテキストを扱いたい
- RAGやコーディングエージェントを常用したい
という制約が実作業の中で明確に出てきたら、初めて上位GPUを比較します。
GPU選びは、「最大モデルを動かせるか」ではなく、「自分が実際にやりたい処理で、どの制約が残っているか」から考えてください。
12.結論:まず小さく動かし、自分のボトルネックを見つける
ローカルLLM環境は、以前より格段に簡単に構築できるようになりました。だからこそ、最初から最強スペックのPCや巨大モデルを選ぶ必要はありません。
- GPUを確認する
- Ollamaを入れる
- 軽量モデルを動かす
- GPU利用を確認する
- 自分の用途へ広げる
この順番で十分です。動く環境を先につくる。必要なスペックは、その後に見えてくる。これがCORE SPECのローカルLLMセットアップの考え方です。
次に、あなたの用途に合わせた判断へ進む
動作確認ができたら、目的に応じてモデル選定・診断・GPU比較へ進んでください。
