制作工程をどこまで広げるかでPCを考える
2D制作におけるPC選びで重要なのは、自分の制作ワークフローがどこからどこまでをカバーしているかを把握することです。
用途に対してオーバースペックなGPUに投資するよりも、メモリ、ストレージ、あるいは色域の広いディスプレイ(液タブ)に予算を回す方が、全体の制作体験は劇的に向上します。
想定ペルソナ:2Dイラストレーター・フォトグラファー
CLIP STUDIO PAINTやPhotoshop、Lightroomを使い、イラスト制作や写真編集を行うクリエイター。作画・現像を中心にする人から、3D素材や生成AI、映像まで制作工程を広げる人まで、必要なPC性能はワークフローによって変わります。
あなたはどのタイプ?
TYPE 1|作画・写真編集フォーカス
主な制作:CLIP STUDIO / Lightroom / 軽いPhotoshop
構成目安:32GB RAM / 1〜2TB SSD。GPU更新するならRTX 5060級も候補。
TYPE 2|描く+仕上げる
主な制作:商業イラスト / 大量RAW / Photoshop / Adobe AI
構成目安:RTX 5060 Ti 16GB〜5070 / 64GB / 2TB以上。
TYPE 3|2Dの枠を超えるクロスワーク
主な制作:Blender / ローカル生成AI / 映像 / Live2D等
構成目安:RTX 5070〜5080 / 64〜128GB / 2〜4TB。
3タイプ比較表
| クリエイタータイプ | 主な制作 | GPU | RAM | 環境設計 |
|---|---|---|---|---|
| TYPE 1 作画・写真 |
CLIP STUDIO、Lightroom | 既存PC / RTX 5060 | 32GB | 1~2TB SSD |
| TYPE 2 描く+仕上げる |
商業イラスト、大量RAW、Adobe AI | RTX 5060 Ti 16GB ~ 5070 | 64GB | 2TB+ SSD / 色管理 |
| TYPE 3 クロスワーク |
Blender、ローカル生成AI、映像、Live2D | RTX 5070 ~ 5080 | 64GB ~ 128GB | 大容量ストレージ・VRAM |
PCだけでは制作環境は完成しない
イラストレーターやフォトグラファーにとって、PC本体のスペックと同等かそれ以上に重要なのが「色管理(カラーマネジメント)」と「入力デバイス(液タブ・ペンタブ)」です。
モニターと色域
商業作品や印刷を前提とする場合、正しい色で表示できるモニターが必須です。sRGBカバー率100%は最低限とし、可能であればAdobe RGBやDCI-P3を広くカバーするハードウェアキャリブレーション対応モニター(EIZO ColorEdgeやBenQ SWシリーズなど)を検討してください。
ストレージ(SSD)
数千ピクセルを超える大キャンバスや、数百枚のRAWデータを扱う場合、ストレージの読み書き速度が作業の快適さを直結します。OS用と作業用(スクラッチディスク)を分け、最低でもM.2 NVMe SSDの2TB以上を確保することを推奨します。
GPUよりも「メモリ」が遅延を防ぐ
CLIP STUDIO PAINTで巨大なブラシを使ったり、Photoshopで大量のレイヤーを重ねる際、動きがモッサリする原因の多くはGPUではなく「メモリ不足」です。
メモリが不足するとストレージを仮想メモリとして使い始め(スワップ)、極端に動作が遅くなります。現代のプロユースであれば32GBをスタートラインとし、余裕があれば64GBを積むことで、長期的に快適な環境を維持できます。
TYPE 3で求められるGPU・VRAM
イラストや写真の平面作業だけであれば、強力なGPUは必須ではありません。しかし、昨今のクリエイターは「背景をBlenderでアタリを取る」「Live2Dで動かす」「Stable Diffusionをローカルで使う」といったように、領域を広げるケースが増えています。
もしこれらの処理を行う(あるいは今後挑戦したい)場合は、GPUの演算性能とVRAM容量が直接的なボトルネックになるため、RTX 5060 Ti 16GBや5070以上のGPUを検討してください。