パソコン工房でBTOパソコンを探し始めると、まず驚くのがラインアップの多さだ。
LEVEL∞、SENSE∞、STYLE∞、SOLUTION∞。
そこからさらにCPU、GPU、ケースサイズ、コラボモデル、推奨PC、用途別モデルへと枝分かれしていく。
選択肢が豊富なのは魅力だ。
しかし同時に、
「結局、どれを選べばいいのか分からない」
という状態にもなりやすい。
パソコン工房のPC選びで重要なのは、すべての商品を比較することではない。
むしろ逆だ。
自分に必要のないPCを、順番に候補から消していく。
そう考えると、巨大に見えるラインアップはかなり読みやすくなる。
この記事では、特にゲーミングPCの「LEVEL∞」とクリエイターPCの「SENSE∞」を中心に、パソコン工房の膨大な商品群をどう整理すればよいのかを考える。
パソコン工房は、なぜこんなにPCが多いのか
パソコン工房では、ゲーミングPCのLEVEL∞だけでも、スペック検索、価格、GPU、ゲーム推奨PC、コラボPC、ゲーミングノートなど複数の入口が用意されている。
クリエイター向けのSENSE∞も同様だ。
こちらは動画編集、イラスト、写真、CG、音楽など「何を作るのか」からPCを探せるようになっており、用途ごとに必要なスペックを検証したモデルを展開している。
つまりパソコン工房は、
少数の完成されたモデルから選ばせるというより、条件を細かく分解し、その条件に合うPCを多数用意する
という売り場設計になっている。
これは強みである一方、何も決めずに商品一覧を見ると迷いやすい原因にもなる。
選択肢が多いことと、選びやすいことは同じではない。
だからこそ、見る順番が重要になる。
結論|全部を見る必要はない
パソコン工房でPCを選ぶとき、最初から商品一覧を一台ずつ比較する必要はない。
基本的には、
ブランドを決める
LEVEL∞ / SENSE∞
用途を決める
ゲーム / 生成AI / 動画 / 3DCG
GPUを決める
5060 Ti 16GB / 5070 / 5080 / 5090
筐体を決める
省スペース / 拡張性
RAM・SSDを調整する
最後の20%をBTOで整える
という順番で候補を減らしていけばよい。
最初に「LEVEL∞かSENSE∞か」を決める。
次に何をするPCなのかを決める。
必要なGPUクラスを決める。
設置スペースや拡張性から筐体を決める。
最後にメモリやSSDを調整する。
この順番なら、数百にも見える選択肢を最初から全部理解する必要はない。
パソコン工房は「おすすめから選ぶ店」というより、「条件から絞る店」と考えると分かりやすい。
まず知っておきたい「∞シリーズ」の違い
パソコン工房のiiyama PCには、用途に応じて複数のブランドがある。
大きく整理すると、
- LEVEL∞:ゲーミング
- SENSE∞:クリエイター
- STYLE∞:一般・日常用途
- SOLUTION∞:ビジネス
という位置づけになる。
例えばSTYLE∞ M-Classは、文書作成、Web閲覧、動画視聴など日常用途を想定したスタンダードPCとして展開されている。
CORE SPECで特に重要になるのは、
LEVEL∞とSENSE∞
だ。
RTXクラスのGPUを搭載し、ゲーム、動画編集、3DCG、生成AIなど高い計算性能を必要とするユーザーにとって、この2ブランドが主な入口になる。
LEVEL∞とSENSE∞は何が違う?
ここで注意したいのは、
LEVEL∞よりSENSE∞の方が上
あるいは、
SENSE∞よりLEVEL∞の方が高性能
という関係ではないことだ。
両者の違いは、性能の上下ではなく、
PCを何から選び始めるか
にある。
LEVEL∞は「ゲーム」から選ぶ
LEVEL∞はゲーミングPCブランドだ。
ゲームで必要になるCPU、GPU、冷却性能などを中心に構成され、現在も幅広いGPU・CPU構成やゲーム推奨PC、コラボモデルなどが用意されている。
ゲームを基準に、
「どの解像度で遊ぶのか」
「どのGPU性能が必要なのか」
からPCを決めたいならLEVEL∞が分かりやすい。
ただし、ゲーミングPCだからゲームにしか使えないわけではない。
GeForce RTXを搭載した高性能PCなら、動画編集、配信、3DCG、生成AIなどにも利用できる。
なお、パソコン工房にはコストパフォーマンスを重視したゲーミングPC「LEVELθ」もある。本記事では高性能構成と制作用途への接続を重視してLEVEL∞を中心に扱うが、予算を抑えてゲームPCを探す場合はLEVELθも比較対象になる。
SENSE∞は「何を作るか」から選ぶ
SENSE∞はクリエイター向けPCだ。
公式では動画編集、イラスト制作、写真編集、CG制作、音楽編集など、用途ごとに必要スペックを検証したモデルを展開している。
さらにSENSE∞ R-Classのカテゴリーを見ると、CG制作だけでもフォトグラメトリー、フォトリアルCG、リアルタイムレンダリング、モーショングラフィックスなど細かな用途へ分かれている。
つまり、
ゲーム体験からPCを決めたい → LEVEL∞
制作内容からPCを決めたい → SENSE∞
という理解が最初の分岐になる。
パソコン工房で迷わない5ステップ
STEP 1|LEVEL∞かSENSE∞か決める
まず入口を決める。
ゲームが主用途ならLEVEL∞。
動画、CG、写真、デザイン、生成AIなど制作が主用途ならSENSE∞。
ただし完全な境界ではない。
ゲームと動画編集を一台で行うならLEVEL∞でもよいし、制作中心だが時々ゲームをするならSENSE∞でもよい。
大切なのは、
自分が何を基準にPCを選びたいのか
だ。
STEP 2|「何をするか」を一つ決める
次に用途を決める。
例えば、
- フルHDゲーム
- 4Kゲーム
- Stable Diffusion / ComfyUI
- 動画編集
- 3DCG
- Unreal Engine
- CAD
- 写真編集
などだ。
ここで用途を一つに絞れない場合は、
一番重い処理を基準にする
と考えるとよい。
ゲームとWeb閲覧ならゲーム。
動画編集とOfficeなら動画編集。
生成AIと写真編集なら生成AI。
PCスペックは、最も負荷の高い作業によって決まりやすいからだ。
STEP 3|GPUを先に決める
パソコン工房ではCPUやGPUの組み合わせが非常に多い。
だからこそ、
商品名を比較する前にGPUクラスを決めてしまう
方が簡単だ。
現在のLEVEL∞ R-Classでも、RTX 5060 Ti 16GB、RTX 5070、RTX 5080、RTX 5090など幅広いGPUクラスから探せる。
RTX 5060 Ti 16GB
ローカル生成AIなどでVRAM容量を確保したい場合の候補。上位GPUより演算性能は低いが、16GBのVRAMを持つことに意味がある用途では比較したい。
RTX 5060 Ti 16GB搭載BTOを比較するパソコン工房のラインアップが多く見えるのは、
同じブランドの中に多くのGPUクラスが並んでいる
ことも理由の一つだ。
逆にいえば、GPUを決めれば候補は一気に減る。
STEP 4|R-ClassやM-Classなど「筐体」を見る
GPUを決めたら、次は細かな型番よりケースを見る。
例えばLEVEL∞では、R-Classはミドルタワーのフラッグシップとして、カスタマイズ性やメンテナンス性を重視した設計になっている。
一方、M-Classはミニタワーで、省スペース性を重視しながら高性能GPUや冷却機構を搭載できる構成になっている。
SENSE∞にもM-Classがあり、クリエイティブ用途を想定したコンパクトなミニタワーとして、垂直エアフローや240mm水冷クーラーへの対応など冷却面も考慮されている。
つまりケース選びでは、
小ささを取るか、拡張性を取るか
という判断をすればよい。
大型ケースだから常に性能が高いわけではない。
必要なGPUが入り、必要な冷却性能があり、将来の増設に対応できるなら、コンパクトな筐体が合理的な場合もある。
STEP 5|最後にRAM・SSDを調整する
CPUやGPUを決める前に、メモリやSSD容量で悩み始めるとPC選びは複雑になる。
これらは最後に調整すればよい。
例えば、
ゲーム中心
→ 32GBメモリを基準に検討
動画編集・3DCG
→ 32〜64GB以上を制作規模に応じて検討
大規模3DCG・シミュレーション
→ 64GB、128GB以上も視野
ストレージも、
OS・アプリ用
作業データ用
アーカイブ用
など役割を分けて考える。
BTOでは最初から完璧な構成を探すのではなく、
自分の用途に近いベースモデルを見つけ、最後の20%をカスタマイズする
くらいに考えると選びやすい。
SENSE∞は生成AI・動画編集・3DCGに向いている?
CORE SPECの読者にとって、SENSE∞は特に相性の良いシリーズだ。
SENSE∞は現在、動画編集、CG制作、イラスト、写真、音楽など幅広い制作用途を想定し、入門向けからプロフェッショナル向けまでモデルを展開している。
また、ワークステーションSENSE∞では、XeonやRyzen Threadripper PRO、NVIDIA RTXプロフェッショナルGPUなどを採用する構成も案内されており、一般的なGeForce搭載クリエイターPCよりさらに専門的な領域までカバーしている。なお、公式の「ワークステーション SENSE∞」ページでは、現時点で完売・後継モデル準備中と案内されている。
つまりSENSE∞は、
軽〜中規模の制作PCから、専門的なワークステーション領域まで用途から辿れる
シリーズとして見ることができる。
ただし、生成AI用途では「クリエイターPC」という名前だけで判断してはいけない。
Stable Diffusion、ComfyUI、ローカルLLMなどではGPUとVRAM容量を見る。
動画編集ではCPU、GPU、メモリ、SSD。
3DCGではGPUだけでなくCPUやRAM、VRAMも重要になる。
最終的には、
SENSE∞だから十分なのではなく、自分の制作工程に必要なスペックを満たしているか
で判断したい。
パソコン工房の弱点|選択肢が多すぎる
パソコン工房の最大の強みは、ラインアップの厚さだ。そして最大の弱点も、同じところにある。
何も条件を決めずにサイトを見ると、
LEVEL∞なのか。SENSE∞なのか。R-Classなのか。M-Classなのか。どのCPUなのか。どのGPUなのか。コラボモデルなのか。推奨PCなのか。即納モデルなのか。
と、選択肢が一気に押し寄せてくる。だから、「一番おすすめのPCはどれだろう」と探し始めると迷いやすい。
パソコン工房では、自分に必要な条件を決め、その条件に合わないPCを消していく方が使いやすい。選択肢の多さが価値になるのは、自分が何を必要としているのかを、ある程度理解しているときだ。
GALLERIA・DAIV・サイコム・FRONTIERと何が違う?
同じBTOでも、選ぶ合理性はメーカーによって違う。
GALLERIA
導入・運用の手間を減らしたい
DAIV
制作工程からPCを選びたい
サイコム
パーツ構成を細かく詰めたい
FRONTIER
価格・セールを優先したい
パソコン工房
自分の条件に合うPCを、広い選択肢の中から探したい
ここが最も分かりやすい違いだ。
店舗とサポートもパソコン工房の強み
パソコン工房は通販だけのBTOショップではない。
購入後の相談については24時間365日のサポートコールセンターを設置し、全国のパソコン工房・グッドウィル店舗でもサポートを受けられるとしている。
公式サイトでも、全国店舗で専門スタッフによる修理や購入相談を受けられるサポートネットワークを特徴としている。
大量の選択肢をネット上で絞り込める一方、
最終的には店舗で相談できる
という構造もパソコン工房の特徴だ。
スペックの意味は分かるが最後の判断に迷う、という人にとっては使いやすい。
パソコン工房が向いている人
パソコン工房は、次のような人と相性がよい。
- 必要なGPUや用途をある程度理解している
- 多くの構成から比較したい
- ゲームと制作を一台で横断したい
- 「何をするか」からPCを探したい
- コンパクトモデルから大型モデルまで比較したい
- RAMやSSDを用途に合わせて調整したい
- ネットだけでなく店舗サポートも利用したい
逆に、
- PCのことをほとんど調べず短時間で決めたい
- 数種類のモデルからシンプルに選びたい
- とにかく最安モデルだけを探したい
- パーツメーカーまで徹底的に指定したい
という場合は、他のBTOも比較した方がよい。
まとめ|パソコン工房は「全部を見る店」ではない
パソコン工房には、とにかく多くのPCがある。
それを弱点と感じる人もいるだろう。
しかし、すべての商品を一台ずつ比較する必要はない。
LEVEL∞かSENSE∞か。
何をするのか。
どのGPUが必要なのか。
どのサイズのケースが必要なのか。
どれだけのメモリとSSDが必要なのか。
順番に条件を決めれば、巨大な商品群から必要なPCだけが残っていく。
選択肢が多いことと、選びやすいことは同じではない。
しかし、
選ぶための軸を持っていれば、選択肢の多さは強さに変わる。
パソコン工房は、
「おすすめPCを教えてもらう店」
というより、
「自分の条件に合うPCを探し出す店」
と考えると分かりやすい。
全部を見る必要はない。
自分に必要のないPCを消していけばいい。