COLUMN — CPU GUIDE

クリエイター向けCPUの選び方
コア数より先に見るべきこと

公開: 2026.06.16 | 更新: 2026.08.16広告・PR

動画編集・3DCG・After Effects・DTM・生成AI。CPUが効く作業を見極め、シングルとマルチの2軸から選ぶ。

クリエイター向けCPUの選び方
画像はイメージです。

クリエイター向けPCを選ぶとき、CPUのスペック表には多くの数字が並びます。

コア数、スレッド数、最大クロック、キャッシュ、消費電力、NPU。数字が多いため、「結局どれを見ればいいのか」が分かりにくくなりがちです。

しかし、最初からすべての数字を見る必要はありません。

まず確認したいのは、自分の制作がCPUにどれくらい依存しているかです。

CPUが効く作業であれば、その次に「シングルスレッド性能」と「マルチスレッド性能」を見ます。動画編集ではメディア処理、長時間負荷では消費電力や冷却など、用途によって追加条件を確認します。

この記事では、CPUの型番を暗記するのではなく、自分の制作工程から必要なCPU性能を判断する方法を整理します。

CORE SPECの判断

CPU選びでは、まず自分の作業がCPU依存かGPU依存かを確認します。CPUが効く作業では「シングルスレッド性能」と「マルチスレッド性能」を基本にし、動画編集ではメディア処理、長時間負荷では消費電力・冷却などを追加で確認します。

最上位CPUを選べば、すべての制作が同じ割合で速くなるわけではありません。GPUレンダリングやローカル生成AIのようにGPUの影響が大きい作業もあれば、CPUレンダリングや一部のシミュレーション、音楽制作のようにCPUが重要になる作業もあります。

CPUそのものを比較する前に、制作工程のどこで待っているのかを確認することが重要です。

用途別:CPUはどれくらい重要?

用途 CPU重要度 CPUが効きやすい場面 最初に見るポイント
イラスト・Photoshop 操作、フィルター、複数アプリの同時利用 シングル性能
DTM・音楽制作 ソフト音源、エフェクト、リアルタイム処理 シングル+マルチ性能
動画編集 再生、エンコード、書き出し マルチ性能+メディア処理
After Effects プレビュー、マルチフレームレンダリング シングル+マルチ性能
Blenderモデリング モデリング、シーン操作 シングル性能
CPUレンダリング CPUを使った最終レンダリング マルチ性能
GPUレンダリング △〜○ シーン準備・その他処理 GPUを優先して確認
CPUを使うシミュレーション 物理計算・シミュレーション マルチ性能+RAM
生成AI 前後処理・複数アプリ運用 多くの場合GPUを先に確認
TouchDesigner・リアルタイム制作 CPU側処理・複数アプリ運用 シングル性能+全体バランス

CPUが重要かどうかは、アプリ名だけではなく「そのアプリで何をしているか」で変わります。

同じBlenderでも、CPUレンダリングとGPUレンダリングでは優先するパーツが異なります。動画編集も、使用するコーデックやエフェクトによってCPU・GPUへの負荷が変わります。

After EffectsのMulti-Frame Renderingでは複数のCPUコアを活用しますが、RAMやGPUなど他の構成も制作性能に影響します。そのため、コア数だけでCPUを評価するのは不十分です。

まず、自分のボトルネックを確認する

CPUを比較する前に、現在の制作で何が待ち時間を生んでいるのかを確認してください。

CPU全体、または特定のCPUコアへ負荷が集中した状態で処理を待っているのであれば、CPU性能を上げることで改善する可能性があります。

一方、GPU使用率やVRAMが先に上限へ達している場合、CPUだけを上位モデルへ変更しても、大きな改善につながらないことがあります。

また、RAM不足によるスワップやストレージアクセスが原因で遅くなっているケースもあります。

「CPUが遅い気がする」ではなく、実際にどこが詰まっているかを見る。CPU選びはそこから始まります。

見るべき① シングルスレッド性能

シングルスレッド性能は、一つまたは少数のスレッドへ依存する処理の速さを見るための指標です。

すべての処理を大量のCPUコアへ均等に分散できるわけではありません。そのため、操作レスポンスや一部のリアルタイム処理では、コア数を増やすだけでは大きく速くならない場合があります。

モデリング、UI操作、リアルタイム制作など、「待ってから結果を見る」のではなく「触りながら制作する」作業では、シングル性能も重要です。

ただし、最大クロックのGHzだけを比較するのではなく、実際に使用するアプリケーションのシングル系ベンチマークを確認してください。

見るべき② マルチスレッド性能

マルチスレッド性能は、多数のCPUコアを並列に使える処理で重要になります。

CPUレンダリング、エンコード、一部のシミュレーション、After Effectsのマルチフレームレンダリングなどでは、複数コアを活用できるため、マルチ性能の差が処理時間へ現れやすくなります。

また、実際の制作では一つのアプリだけを動かすとは限りません。

制作ソフトを開きながら、ブラウザ、OBS、Photoshop、音楽ソフトなどを同時に動かすケースでは、CPU全体に余裕があることも意味を持ちます。

「1つの処理を速くする性能」と「複数の処理を抱えられる余裕」を分けて考えると、CPUを選びやすくなります。

コア数・GHzだけではCPU性能は決まらない

CPUのスペック表を見ると、「16コア」「24コア」「最大5.7GHz」といった数字が目に入ります。

しかし、これらの数字だけでCPU性能を直接比較することはできません。

CPUは世代やアーキテクチャによって1コアあたりの性能が異なります。また、性能特性の異なる複数種類のコアを組み合わせている製品もあります。

そのため、

  • 24コアだから16コアより速い
  • 5.7GHzだから5.5GHzより速い

と単純には判断できません。最終的には、自分が利用するソフトに近いベンチマークを見る方が確実です。

スペック表の数字 分かること それだけでは分からないこと
コア数 並列処理の規模 1コアあたりの性能
スレッド数 同時処理能力の目安 実際のアプリ性能
最大クロック 最大動作周波数 持続性能・世代差
キャッシュ CPU内部の高速メモリ容量 アプリごとの効果
世代・アーキテクチャ CPU設計の違い 実際の用途別性能

消費電力・冷却は第3の条件

シングル性能とマルチ性能を確認したら、次に見たいのが消費電力と冷却です。

ただし、スペック表の「TDP」や「Processor Base Power」を、そのまま実際の消費電力としてメーカー間で比較するのは避けてください。

CPUメーカーによって電力指標の定義は異なり、実際の消費電力や温度は、処理内容、電力設定、マザーボード、CPUクーラーなどによって変わります。

長時間レンダリングやエンコードを行う場合は、実負荷時の消費電力、温度、持続クロック、必要なCPUクーラーまで確認すると判断しやすくなります。

消費電力が大きいCPUが悪いわけではありません。重要なのは、必要な性能と、その性能を維持するための冷却をセットで考えることです。

動画編集ではCPUベンチマークだけで決めない

動画編集では、CPUのシングル・マルチ性能だけでは判断できません。

使用するコーデックによっては、CPUやGPUに搭載された専用のメディア処理機能を利用できるためです。

例えばH.264やH.265を多く扱う場合、対応するハードウェアアクセラレーションを利用できるかによって、再生や書き出しの体感が変わることがあります。

そのため動画編集では、CPUベンチマークだけではなく、「使う編集ソフト」「素材のコーデック」「ハードウェアアクセラレーションの対応」まで確認してください。

映像制作ではCPU単体ではなく、GPU・RAM・ストレージとのバランスが重要です。制作工程全体から構成を判断したい場合は、Premiere・After Effects向けPCの選び方を確認してください。

NPUはCPU選びの決め手になる?

最近のCPUでは、AI処理向けのNPUを搭載する製品も増えています。

NPUは、対応するAI処理を低消費電力で実行するための専用アクセラレーターです。

ただし、NPUのTOPSが高いからといって、すべての生成AI処理が速くなるわけではありません。

ローカル画像生成や大規模なAI処理ではGPUが中心になるワークフローも多いため、NPUとGPUは別の計算資源として考える必要があります。

NPU対応機能を日常的に使うのであれば確認する価値がありますが、CPUを選ぶ最初の数字としてTOPSだけを見る必要はありません。

IntelとAMD、結局どちらを選ぶ?

IntelとAMDのどちらが優れているかを、一つの結論で決める必要はありません。

CPUの世代によって性能差は変わり、アプリケーションによって得意な処理も異なります。

そのため、メーカー名を先に決めるより、

  1. 自分の用途がCPU依存か確認する
  2. シングルとマルチ、どちらを重視するか決める
  3. 使用ソフト固有のベンチマークや機能を見る
  4. 消費電力・冷却・価格を含めて比較する

という順番で考える方が合理的です。

CPU製品は更新が速いため、このページでは特定モデルを「絶対的な正解」とせず、制作工程から判断することを基本とします。

CPUへ予算を回すべき人、GPUを優先したい人

高性能CPUが必要かどうかは、CPUの性能表ではなく、自分の制作工程から決まります。

GPUやVRAMが先にボトルネックになっているのであれば、CPUへ予算を追加するよりGPUを優先した方が効果的な場合があります。

制作内容 優先しやすいパーツ 理由
CPUレンダリング CPU マルチ性能が処理時間へ影響しやすい
After Effects CPU・RAM・GPU 複数の計算資源を使う
DTM CPU・RAM リアルタイム処理と多数プラグイン
CPU主体のシミュレーション CPU・RAM 計算量とデータ量が大きい
Stable Diffusion / ComfyUI GPU・VRAM 多くの処理をGPUで行う
GPUレンダリング GPU・VRAM レンダリング処理をGPUへ移す
ゲーム・リアルタイム3D GPU+CPU 描画とCPU側処理の両方を見る
動画編集 CPU+GPU+RAM 素材・コーデック・エフェクトで変わる
TouchDesigner GPU+CPU GPU処理とCPU側処理の両方を見る

→ グラボ(GPU)の選び方を確認する

CPUを選ぶときの6つのチェックポイント

CPUを単体で評価するのではなく、GPU・RAM・ストレージまで含めて、制作のどこへ予算を使うと最も待ち時間が減るかを考えてください。

確認項目 見るポイント
制作用途 CPUが本当にボトルネックか
シングル性能 操作・リアルタイム系で必要か
マルチ性能 レンダリング・書き出しで必要か
専用機能 メディア処理・NPUなどを使うか
電力・冷却 長時間負荷を維持できるか
予算配分 GPU・RAMへ回した方が効果的ではないか

まとめ:CPUは「最強」ではなく、ボトルネックから選ぶ

クリエイター向けCPU選びで、最上位モデルを選ぶこと自体が目的ではありません。

まず、自分の制作がCPUにどれくらい依存しているかを確認します。

CPUが重要な作業なら、基本となるのはシングルスレッド性能とマルチスレッド性能です。そのうえで、動画編集ならメディア処理、長時間負荷なら消費電力と冷却、AI PCの機能を使うならNPUなどを追加で確認します。

一方、生成AIやGPUレンダリングなど、GPUがボトルネックになっている作業では、CPUだけを上位モデルへ変更しても大きな改善につながらないことがあります。

CPUは「一番速いもの」を選ぶのではなく、自分の待ち時間を生んでいる場所から選ぶ。

そこが分かれば、必要以上にCPUへ予算をかけることも、CPU不足で制作を止めることも避けやすくなります。

よくある質問

クリエイター向けCPUは何を基準に選べばよいですか? +

まず、自分の制作がCPUにどれくらい依存しているかを確認してください。CPUが重要な作業では、シングルスレッド性能とマルチスレッド性能を基本にします。そのうえで、動画編集ではメディア処理、長時間負荷では消費電力や冷却など、用途ごとの条件を確認します。

コア数が多いCPUほど速いですか? +

必ずしもそうではありません。CPUは世代やアーキテクチャによって1コアあたりの性能が異なり、性能特性の異なる複数種類のコアを搭載する製品もあります。コア数だけでなく、実際に使用するアプリケーションに近いベンチマークを確認してください。

シングル性能とマルチ性能はどちらが重要ですか? +

用途によって異なります。操作レスポンスや一部のリアルタイム処理ではシングル性能、CPUレンダリングやエンコードなど多数のコアを利用できる処理ではマルチ性能が重要になります。両方を確認し、自分の制作工程に合うCPUを選んでください。

BlenderではCPUとGPUのどちらを優先すべきですか? +

制作工程によって異なります。モデリングやCPU側の処理ではCPUも重要ですが、GPUレンダリングを中心に使う場合はGPU性能やVRAMの優先度が高くなります。Blenderで何をしている時間が長いかを基準に判断してください。

動画編集ではIntelとAMDのどちらがよいですか? +

メーカー名だけで一律に決めるのはおすすめしません。編集ソフト、使用するコーデック、ハードウェアアクセラレーションの対応、CPUのシングル・マルチ性能などをまとめて確認してください。

NPUのTOPSはCPU選びで重要ですか? +

NPU対応のAI機能を利用する場合には確認する価値があります。ただし、ローカル画像生成などGPUを中心に使うワークフローでは、NPUのTOPSだけで性能を判断できません。NPUとGPUは別の計算資源として考えてください。

CPUとGPU、どちらに予算をかけるべきですか? +

現在の制作でどちらがボトルネックになっているかで判断します。CPUレンダリングやCPU主体の処理が多いならCPU、生成AIやGPUレンダリングなどGPU負荷が大きい作業ではGPUやVRAMを優先する方が効果的な場合があります。

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