COLUMN — 計算資源シリーズ #11

Radeonは生成AIに使える?
CUDA vs ROCmと対応ソフトを用途別に解説【2026年】

公開: 2026.08.25 | 更新: 2026.08.25 広告・PR

「RadeonではAIができない」はもう正確ではない。では、それでも生成AI PCでGeForce RTXが選ばれる理由は何か。

RadeonとGeForce RTXの生成AI対応をCUDA・ROCm・制作ソフトから比較するイメージ
画像はイメージです。
計算資源シリーズ(第11回)

スペック表の数値比較にとどまらず、「計算資源をどう持ち、何に使い、どのような価値へ変換するか」を用途から考えるシリーズです。第11回は、計算資源の「互換性とソフトウェア制約」──GPU性能の数字だけでなく、CUDAとROCm、PyTorch、ComfyUI、TouchDesignerの制作フロー全体からGPUの本当の選び方を整理します。

GPUの価格とVRAM容量を見比べているとき、多くの人が一度は気になる疑問があります。

💡 「AMD Radeonは、生成AIやクリエイティブ制作に使えないのか?」

結論から言えば、「RadeonではAIが動かない」という時代は終わりました。

2026年現在、AMDの計算プラットフォームROCmの対応は大きく進み、PyTorch、Ollama、ComfyUIなど主要なAIツールでAMD GPUがサポートされる範囲は確実に広がっています。

しかし同時に、「それでも生成AI・クリエイティブ制作PCとしてGeForce RTXが強く推奨される理由」も依然として極めて明確です。

この記事では、単なるブランド比較ではなく、CUDAとROCmの現在地、用途別の対応状況、そしてTouchDesignerなどの映像制作まで含めた実践的な判断基準を整理します。

用途別:RadeonとGeForceの対応状況一覧

まず、制作でよく使われるソフトウェアごとの対応度を整理します。

用途・ソフトウェア Radeon GeForce RTX 実用上のポイント
ローカルLLM(Ollama等) ◯ 実用可 ◎ 快適 ROCmに加え、OllamaではVulkanによるGPUアクセラレーションも標準有効化され、AMD GPUでローカルLLMを動かせる範囲が拡大。
画像生成(ComfyUI) △ 条件付き ◎ 標準 公式サポートはあるが、Custom Nodeや最適化バックエンドに制限あり。
動画生成(Wan2.1 / Hunyuan) △ 環境依存 ◎ 標準 AMD対応の高速化技術も増えているが、モデル配布時の推奨環境やCustom Node、事前ビルド済みパッケージは依然CUDA中心。
TouchDesigner(映像・リアルタイム) △ 一部制限 ◎ 推奨 基本機能は動くが、Optical FlowやAI系TOPなどNVIDIA専用機能が存在。
DaVinci Resolve / Premiere Pro ◯ 実用可 ◎ 快適 AMD GPUでも編集・GPUアクセラレーションは利用可能。AI機能や外部プラグイン、特定処理ではGPUごとの最適化差あり。
ゲーム(ラスタライズ) ◎ コスパ高 ◎ 標準 純粋な描画性能とVRAM容量のコスパではRadeonが非常に強力。

CUDAとROCmの本質的な違いとは?

なぜこのような差が生まれるのでしょうか。それはハードウェア自体の処理能力ではなく、ソフトウェアのエコシステム(開発環境)の歴史と成熟度にあります。

NVIDIA CUDA

2006年からの圧倒的な標準規格

  • 多くのAI研究論文やライブラリ・サンプル実装が、まずCUDA環境を想定して公開される
  • Windows / Linuxを問わずドライバ・環境構築が極めて安定
  • TensorRT、cuDNN、TensorRT-LLMなどNVIDIA向け最適化ツールが充実
  • トラブル時にWeb上に解決策(情報)が無数にある
AMD ROCm

急速に進化するオープンな挑戦者

  • Linux環境を中心にデータセンターやPyTorch公式で手厚くサポート
  • Windows対応(ROCm for Windows)も進んでいるが対象GPUが限定的
  • コミュニティ製Custom Nodeや最新最適化の移植にタイムラグが発生
  • エラー時の情報が少なく、自力でのトラブルシュートが必要

つまり、「Radeonで動くかどうか」ではなく、「世界中で新しく発表される最新のAI技術やワークフローを、少ない追加対応でスムーズに試せるかどうか」が最大の境界線なのです。

TouchDesignerとRadeon:リアルタイム映像制作のリアル

クリエイティブコーディングやインタラクティブアートで業界標準のTouchDesignerにおいても、GPU選びは制作の自由度を左右します。

Derivative公式のシステム要件において、TouchDesignerはWindows環境でAMD Radeon(RDNAアーキテクチャ以降)を公式にサポートしています。基本的なノード処理、GLSLシェーダー、3DレンダリングなどはRadeonでも問題なく動作します。

しかし、制作現場で差が出るのは以下の「NVIDIA専用機能」です:

⚠️ TouchDesignerでNVIDIA GPU(RTX)が必要になる主な機能

  • Optical Flow TOP: カメラ映像から物体の動きベクトルをリアルタイム推定(NVIDIA Optical Flow SDK依存 / Windows+RTX 3000番台以上)
  • NVIDIA Background TOP: AIによる人物・被写体のリアルタイム背景分離
  • NVIDIA Denoise TOP: AIによる映像ノイズ低減およびH.264等の圧縮アーティファクト除去
  • NVIDIA Upscaler TOP: リアルタイム映像の超解像・アップスケーリング処理
  • ハードウェア処理: NVIDIA GPUによるH.264/H.265のハードウェアエンコード/デコード

ライブ演出や映像インスタレーションでAI機能や低遅延リアルタイム処理を組み込む場合、現場でRTXが選ばれ続けているのはこのためです。

結論:あなたはどう選ぶべきか?

計算資源としてのGPU選びは、「自分の制作フローにどの程度の不確実性を許容できるか」で決まります。

こんな人にはRadeonも選択肢

ゲーム中心 + 定番ローカルLLM

  • 主な用途はPCゲームで、価格対VRAM容量のコスパを最優先したい
  • ローカルLLMはOllamaで7B〜14Bの推論ができれば満足
  • Linux環境やDockerの扱いに慣れており、設定を自力で解決できる
こんな人にはGeForce RTXを優先

生成AI・動画・リアルタイム映像制作

  • ComfyUI、Wan2.1、HunyuanVideoなどの画像・動画生成をフル活用したい
  • TouchDesignerでAI系TOPやOptical Flowを使いたい
  • RAG開発やAIエージェントのローカル実行まで挑戦したい
  • 環境構築や互換性調査の時間を減らし、制作に集中したい

GPUとは単なる演算性能の数字だけではなく、自分の制作工程に残される選択肢の数でもあります。

📚 参考:公式ドキュメント・互換性マトリクス

※対応状況は2026年8月25日時点の情報です。導入前に各公式ドキュメントの最新版をご確認ください。

生成AI・クリエイティブ向けPCの選び方を見る

RTX 5070・5080・5090からRTX PRO 6000まで、用途とVRAM容量に応じた推奨BTOモデルを詳しく解説しています。

ローカルLLM・生成AI向けGPUガイドを見る

よくある質問

Radeonでは生成AIはできませんか? +

できます。ROCmやVulkanなどを利用し、PyTorch、Ollama、ComfyUIなどをAMD GPUで利用できる環境は広がっています。ただし、対応GPU、OS、アプリ、利用する拡張機能(Custom Nodeや特定ライブラリ)の組み合わせを確認する必要があります。

RadeonでComfyUIは使えますか? +

AMD GPUはComfyUIのサポート対象です。ただしWindows環境などでは一部実験的サポートとなる構成もあり、NVIDIA環境とはインストール手順や利用可能なCustom Node、高速化バックエンドが異なる場合があります。

RadeonでTouchDesignerは使えますか? +

使えます。現在のTouchDesignerはWindowsでRadeon 5000シリーズ以降(RDNAアーキテクチャ)を公式サポートしています。ただしOptical Flow TOPやNVIDIA Background / Denoise / Upscaler TOPなど、NVIDIA GPU専用の機能が存在します。

TouchDesignerを使うならRTXを買うべきですか? +

基本機能やGLSLシェーダー処理が中心ならRadeonでも動作します。しかし、ライブ映像、AI機能(Optical Flow、背景分離、映像ノイズ低減)、H.264/H.265の一部ハードウェア処理、ComfyUI等の生成AIツールとの1台併用まで考えるなら、RTXの方が制作フローに入る制約を減らせます。

ローカルLLMだけならRadeonでも大丈夫ですか? +

利用するモデル、ランタイム(Ollamaなど)、GPUが対応していれば十分に動作します。推論中心の利用であれば実用的な速度が出るケースもありますが、最新の最適化ライブラリや独自学習、画像・動画生成への拡張性を求めるなら依然としてNVIDIA環境が最も選択肢が豊富です。

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