マイクを良いものに変えたのに、音が良くならない。
そんなことがあります。
声が部屋に響く。
キーボードの音が入る。
PCファンの音を拾う。
外を走る車の音が入る。
夜に話すと、隣の部屋への音漏れが気になる。
これらは「マイクの性能」だけの問題ではありません。
マイクが置かれている部屋そのものが、音を作っているからです。
そこで考えたいのが、吸音と防音です。
ただし、この二つは同じものではありません。
最初に、
何の音に困っているのか
を切り分けることから始めます。
まず知っておきたい。吸音と遮音・防音の違い
吸音と遮音は役割が違います。防音は、吸音や遮音などを組み合わせて音の出入りを抑える考え方です。
吸音
部屋の中で反射する音を減らすことです。
何もない部屋で声を出すと、壁、床、天井などに音が反射します。
その反射音をマイクが拾うと、声が遠く聞こえたり、風呂場のような響きが残ったりします。
これを減らすのが吸音です。
遮音・防音
外から入る音、または部屋から外へ出る音を減らすことです。
道路の音。
隣室の生活音。
配信している自分の声。
楽器やスピーカーの音。
これらの出入りを抑えるには、吸音とは違った遮音の対策が必要になります。
つまり、
と考えると、最初の方向を判断しやすくなります。
問題1|自分の声が部屋に響く
これは吸音側の問題です。
特に、
- 硬い床
- 大きな壁
- 窓
- 家具が少ない部屋
では、音が反射しやすくなります。
しかし、最初から壁全面へ吸音材を貼る必要はありません。
まずは、
- 厚手のカーテン
- ラグやカーペット
- 布製家具
- 吸音パネル
など、反射の強い場所から調整します。
マイクを口へ近づけ、入力ゲインを必要以上に上げないことも有効です。
部屋全体を作り変える前に、
マイクと口の距離を短くする
だけで改善することもあります。
問題2|キーボードや机の音を拾う
これは「部屋の吸音」だけではありません。
振動が机からマイクスタンドへ伝わっている可能性があります。
この場合、
- マイクアーム
- ショックマウント
- デスクマット
など、振動経路を切る方法を考えます。
また、マイクの向きも重要です。
キーボード側ではなく、自分の口を狙うように配置します。
「高性能マイクへ買い替える」より、
今あるマイクをどこへ置くか
の方が効くこともあります。
問題3|PCファンの音を拾う
高性能PCを使う配信・制作環境では、PC自体が騒音源になります。
GPUやCPUへ負荷がかかれば、ファン回転数も上がります。
このとき重要なのは、PC全体を防音材で囲うことではありません。
排熱を妨げる可能性があるためです。
まず、
- マイクをPCから離す
- 指向性マイクを使っている場合は、マイクの感度が低い方向へPCを配置する(指向特性を確認して調整)
- PCを机上から足元などへ移す
- マイクを口へ近づける
といった配置変更から考えます。
CORE SPECでは、
音対策と冷却を別々に考えない
ことをおすすめします。
静かにするために排熱を犠牲にすると、PCの安定性という別の問題が生まれます。
問題4|外の音が入る
車。
電車。
工事。
隣室。
こうした音は、吸音パネルだけでは解決しにくい問題です。
窓やドアなど、音が入りやすい場所を確認します。
厚手カーテンなどで軽減できる場合もありますが、本格的な遮音には、より構造的な対策が必要になります。
ここでは、
吸音材を増やせば防音になるわけではない
ことを理解しておくことが重要です。
問題5|自分の声が外へ漏れる
夜間の配信や集合住宅では、こちらの方が重要な場合があります。
この問題も吸音だけではありません。
自分の声を小さくする。
マイクを口へ近づける。
必要以上に大きな声を出さなくても収録できる環境を作る。
窓やドアなど音が抜ける場所を確認する。
それでも難しい場合に、より本格的な遮音や簡易防音室を検討します。
つまり、
防音室を買う前に、必要な声量を下げられないか考える。
ここにも「環境全体で考える」という考え方があります。
まずお金をかけずに試したいこと
音の問題は、機材追加だけで解決するとは限りません。
最初に試したいのは、
- マイクを口へ近づける
- 入力ゲインを下げる
- マイクの向きを変える
- PCとの位置関係を変える
- カーテンを閉める
- 家具や布の配置を利用する
といった方法です。
そこで原因が見えてから、
- 吸音パネル
- マイクアーム
- ショックマウント
- 厚手カーテン
- 遮音設備
へ進みます。
「反響」「振動」「騒音」「音漏れ」を分けて考える
配信環境の音対策で重要なのは、
「音が悪い」
でまとめないことです。
声が響くのか。
振動を拾っているのか。
PCがうるさいのか。
外から入ってくるのか。
外へ漏れるのか。
原因が違えば、必要な対策も違います。
これを切り分けるだけで、不要な機材を買う可能性は大きく下げられます。
良い音は、マイクだけでは作れない
高価なマイクを買えば、すべての問題が解決するわけではありません。
マイクは、
部屋の音を拾う装置
でもあります。
だから、マイクを選んだ後は部屋を見る。
部屋を整えたら、さらにマイク位置を調整する。
PC、机、マイク、部屋を一つの環境として考えることで、配信や録音の音は整えやすくなります。
CORE SPECでは、スペックだけでなく、
機材が置かれる環境まで含めて考える。
それが、長く使える制作環境を作る基本だと考えています。
