── 普通のBTOでは構成しにくい領域まで、CPU・GPU・筐体を組み合わせたい人のための専門BTO
ZEUS(ゼウスコンピューター)は、RTX 5090やRTX PROといった高性能GPUだけでなく、Threadripper / Threadripper PRO、Xeon、マルチGPU、ラックマウントまで扱うBTOブランドです。
一般的なBTOメーカーにもRTX 5090搭載機やクリエイター向けPCはあります。しかしZEUSの特徴は、単に「高性能なPCがある」ことではありません。一般的なデスクトップPCから、ワークステーション、デュアルGPU、GPUサーバー、ラックマウントまでが、同じブランドのラインナップとして連続していることです。
RTX 5090を2枚搭載する構成や、RTX PRO 6000 Blackwellを複数枚搭載する構成まで公式ラインナップとして用意されており、「普通のBTOでは選択肢がなくなった後」に比較候補へ入ってくるブランドと言えます。
この記事では、ZEUSがどんなBTOブランドなのか、VSPECとの関係、マルチGPUやワークステーションの特徴、向いている人、購入前に確認したい注意点を整理します。
30秒でわかるZEUS
| 項目 | ZEUSの特徴 |
|---|---|
| 得意領域 | ワークステーション・マルチGPU・GPUサーバー |
| GPU | GeForce RTXからRTX PROまで |
| CPU | Core / Ryzen / Threadripper / Threadripper PRO / Xeonなど |
| 特殊構成 | RTX 5090×2、RTX PRO複数枚など |
| 筐体 | 一般的なタワーからラックマウントまで |
| 想定用途 | AI、CG、映像、シミュレーション、研究・法人用途 |
| 強み | CPU・GPU・筐体の組み合わせの幅 |
| 注意点 | 高出力構成では電源環境、マルチGPU対応、保証・OS対応を個別確認 |
CORE SPECの判断
ZEUSを「RTX 5090が買えるBTO」と捉えると、このブランドの特徴を見誤ります。ZEUSの価値は、普通のBTOでは構成しにくい計算環境まで選択肢として持っていることです。単体GPUの価格比較だけではなく、GPUを何枚必要とするか、CPU側のPCIeレーンやコア数が必要か、ECCメモリが必要か、タワーでよいかラックへ入れるか、家庭の100V環境で扱えるかまで含めて考える人ほど、ZEUSを比較する意味があります。
1|ZEUSとは? VSPECとの関係
ZEUSを運営しているのは、株式会社ウィズテック PC事業部です。
同社はVSPECも展開しており、過去のVSPEC公式情報ではZEUSをクリエイター向けブランドとして位置づけています。
ただし、現在のサイトを見る限り、VSPECとZEUSでは役割がかなり異なります。VSPECは、一般的なBTOからケースやパーツまで細かく選ぶフルカスタム性を広く扱うブランド。一方ZEUSは、
映像・3DCG・ワークステーション・マルチGPU・サーバーなど、高負荷な制作・計算処理へ寄せた専門ブランド
として見る方が分かりやすいでしょう。CORE SPECでは、この違いからVSPECとZEUSを別のブランドとして扱います。
2|ZEUSが他のBTOと違うのは「上限の先」までラインナップが続くこと
多くのBTOメーカーでは、
あたりまでが中心になります。ZEUSでは、その先に、
という選択肢があります。
つまり、PCの性能を上げるだけではなく、計算資源そのものを拡張していく方向へラインナップが続いていることがZEUSの特徴です。
これは、「最も速いゲーミングPCが欲しい」という需要とは少し違います。AI開発、シミュレーション、レンダリング、大規模3DCG、映像処理などで、「1枚のGPU、一般的なCPU、一般的なPCケースでは制約になる」ところからZEUSの存在感が大きくなります。
3|RTX 5090を2枚搭載するワークステーションまで選べる
ZEUSを象徴する構成の一つが、RTX 5090を2枚搭載したデュアルGPUワークステーションです。公式ラインナップでは、Threadripperを使った構成だけでなく、Xeon Wを組み合わせたRTX 5090×2構成も確認できます。
ここで重要なのは、単純に、
「32GB+32GB=64GBの巨大GPUになる」と考えないことです。
2枚のGPUを搭載しても、ソフトウェア側がマルチGPUへ対応していなければ2枚目を十分に利用できません。VRAMについても、処理方式や使用ソフトによってGPU間での扱いが変わるため、「64GB VRAMのGPUが1枚ある」のと同じではありません。
そのためRTX 5090×2は、
- マルチGPU対応レンダラー
- GPUごとにジョブを分配できる処理
- AI推論・学習環境
- 並列計算
- 複数GPUを前提とした独自ワークフロー
など、2枚を使う理由が明確な人向けです。
電源環境も一般的なPCとは違う
ZEUSのRTX 5090×2構成では2000W電源を採用し、公式ページでも日本の一般的な100Vコンセントでの使用を推奨せず、200V電源を推奨しています。
ここまで来ると、PC本体だけを見て購入する領域ではありません。ブレーカー容量、コンセント、回路、発熱、設置場所まで含めて「計算環境」を設計する必要があります。
→ 高性能PCを家庭で運用する際の電源設計については「1000W超の高性能PCを家庭で使える?電源・コンセント・ブレーカーの考え方」で詳しく解説しています。
4|Threadripper PRO・Xeon・RTX PROまで選択肢が広い
ZEUSのもう一つの特徴が、CPUとGPUの組み合わせです。一般向けCPUだけでなく、
- Ryzen Threadripper
- Ryzen Threadripper PRO
- Xeon W
- Xeon 6
などを使った構成が用意されています。GPUについてもGeForceだけではなくRTX PROへ拡張できます。
たとえば公式には、Threadripper PROとRTX PRO 6000 Blackwellを複数枚組み合わせたGPUサーバー構成が存在します。RTX PRO 6000 Blackwellは1枚で96GBのVRAMを持つため、32GBのRTX 5090では収まりにくいモデルやデータを扱う用途では、単純なGPU速度とは別の意味を持ちます。
さらにZEUSでは、そのRTX PROを複数枚搭載する領域まで選択肢があります。ただし、ここでも重要なのは「枚数が多いほどよい」ではありません。
必要なのは、自分のワークロードのどこが制約になっているのかを先に把握することです。
- 単体GPUのVRAM不足なら → RTX PRO 6000(RTX PRO 6000搭載ワークステーション比較)
- 並列処理量がボトルネックなら → マルチGPU
- CPU側のコア数やPCIe拡張性も必要なら → Threadripper PROやXeon
というように、制約から逆算して構成を選びます。
5|ラックマウントGPUサーバーまで同じブランドで選べる
ZEUSはデスクトップ型ワークステーションだけではありません。
公式ラインナップには4U、5U、6Uなどのラックマウント構成があり、Threadripper PROやXeon、GeForce、RTX PROを組み合わせたGPUサーバーが用意されています。5U / 6UクラスではRTX PRO 6000 Blackwell Max-Qを複数枚搭載する構成まで確認できます。
これは一般的な「BTOパソコン」というより、オンプレミスの計算ノードに近い領域です。
研究室、企業内AI環境、3DCGレンダリング、シミュレーションなどで複数人・複数ジョブから計算資源を利用する場合、デスク下に置くPCだけでなくラック型を検討できることはZEUSの大きな特徴です。
6|「既製品から選ぶ」より「必要な構成から逆算する」ブランド
ZEUS公式では、ケースを含めたカスタマイズ性や、特殊仕様への対応をブランドコンセプトとして掲げています。法人窓口でも、選択肢にない商品について相談できる旨が案内されています。
そのためZEUSは、「掲載されている型番の中から一番得なモデルを探す」という買い方より、「必要なCPU・GPU・メモリ・拡張性を定義して、その計算環境を組めるか相談する」という買い方に向いています。
大学・研究機関との取引実績も公式に多数掲載されており、見積書・納品書・請求書など法人・研究機関向けの書類発行にも対応しています。個人のハイエンド制作だけでなく、研究・法人用途との距離が近いブランドだと考えられます。
7|ZEUSが向いている人
ZEUSが比較候補になりやすいのは、次のような人です。
RTX 5090を1枚積むだけでは足りない
マルチGPUに対応した処理を行い、RTX 5090×2のような構成を必要としている。
RTX PROの大容量VRAMが必要
大規模AI、シミュレーション、3DCGなどで32GBを超えるVRAM容量が制約になっている。
Threadripper PROやXeonが必要
大量のCPUコア、ECCメモリ、PCIe拡張性などが必要。
一般BTOでは選べない構成にしたい
GPU枚数、CPU、ケース、電源など、通常のBTOメニューでは構成できない。
研究室・法人で導入したい
見積・納品・請求を含め、一般消費者向けPCとは異なる導入フローが必要。
将来的にラック運用まで考えている
1台のワークステーションではなく、オンプレミスの計算環境として拡張したい。
8|ZEUSを慎重に検討した方がいい人
一方で、すべての人にZEUSが向いているわけではありません。
一般的なゲーミングPCを安く買いたい
RTX 5070や5080搭載PCを価格中心で探すなら、FRONTIERやGALLERIAなど他のBTOを先に比較した方が選びやすいケースがあります。
マルチGPUを使う理由がない
RTX 5090を2枚搭載できても、使用ソフトが2枚を活用できなければ投資効率は下がります。GPU枚数より先にワークロードを確認する必要があります。
電源・設置環境を確認していない
2000Wクラスでは一般的なPCと同じ感覚で導入できません。特に200V推奨構成では、建物側の電源環境まで確認が必要です。
サポート条件・OS対応を購入前に確認したくない
標準構成の商品ページでは無償修理1年間とされている一方、公式コンセプトでは3年保証やオンサイトサポートをオプションとして掲げています。必要な保証内容は見積時に確認した方がよいでしょう。また、一部の公式サポート情報には旧世代Windowsを前提とした記述が残っています。Windows 11やLinuxなどを使う場合は、購入前にどこまでが動作確認・保証・サポート対象になるかを確認してください。
9|ZEUSでは「製品名」より用途から構成を見る
ZEUSのラインナップを見るとき、製品名を上から順番に比較するより、必要な計算資源から分類した方が分かりやすくなります。
| 分類 | 主要スペックの目安 | 適した用途 |
|---|---|---|
| 一般的な制作PC | Core / Ryzen + GeForce | 映像編集・3DCG・一般的な生成AIなど |
| ハイエンドワークステーション | Threadripper / Xeon + RTX 5090 | CPUとGPUの両方へ高い処理能力が必要 |
| デュアルGPU | RTX 5090×2 | マルチGPUを利用できるレンダリング、AI、並列処理 |
| 大容量VRAMワークステーション | Threadripper PRO / Xeon + RTX PRO 6000 | 32GBを超えるVRAM、ECC、プロ向け運用環境 |
| GPUサーバー・ラックマウント | Threadripper PRO / Xeon + 複数GPU | 研究室・法人・オンプレミス計算基盤 |
このように整理すると、ZEUSは単なる「高級BTOメーカー」ではありません。必要な計算資源の規模に合わせて、PCからワークステーション、サーバーへ段階的に拡張できるブランドです。
10|まとめ:ZEUSは「普通のBTOでは構成できない」が始まったところから見る
ZEUSの魅力は、最安値でも、初心者向けの分かりやすさでもありません。強みは、「組み合わせの上限が高いこと」です。
- RTX 5090×2
- Threadripper PRO
- Xeon
- RTX PRO 6000
- マルチGPU
- ラックマウント
こうした構成を一つのブランド内で検討できます。
だからこそZEUSは、「とにかく一番高性能なPCが欲しい人」よりも、「今の計算環境のどこに制約があり、それをどのハードウェアで取り除くか」が分かっている人との相性がよいBTOです。
一般的なBTOで必要な構成が見つからなくなったとき、ZEUSは次に確認したいブランドの一つです。
ZEUS(ゼウスコンピューター)公式
ワークステーション・マルチGPU・ラックマウントGPUサーバーの現行ラインナップやカスタマイズ構成を確認できます。
Next Decision
まず、ワークステーション全体の選び方を整理する
RTX PRO、Threadripper、Xeon、GeForceの違いから、自分に必要な計算環境を整理したい場合はこちら。
→ ワークステーションの選び方を見るよくある質問
ZEUSとVSPECは同じ会社ですか?+
どちらも株式会社ウィズテック PC事業部が運営しています。過去のVSPEC公式情報ではZEUSをクリエイター向けブランドとして案内しています。現在はZEUSがワークステーション、マルチGPU、サーバーなど専門性の高い構成を中心に扱っています。
ZEUSではRTX 5090を2枚搭載できますか?+
公式ラインナップにはRTX 5090を2枚搭載したThreadripper構成やXeon W構成があります。ただし製品構成や在庫は変わるため、購入時点で公式情報を確認してください。
RTX 5090を2枚積めばVRAM 64GBとして使えますか?+
必ずしもそうではありません。GPUを2枚搭載しても、1枚の64GB GPUと同じように扱えるわけではなく、利用できるGPU数やVRAMの扱いはソフトウェアや処理方式によって異なります。マルチGPU対応を確認してから選ぶ必要があります。
RTX 5090×2を家庭の100Vコンセントで使えますか?+
ZEUSの一部RTX 5090×2構成では2000W電源を搭載し、公式に200V電源での使用を推奨しています。超高出力構成では、PCだけでなく分電盤、回路、コンセント、設置環境まで確認してください。
ZEUSは一般的なゲーミングPCにも向いていますか?+
一般的なGeForce搭載PCもありますが、ZEUSの独自性が強く出るのはワークステーション、マルチGPU、Threadripper、Xeon、GPUサーバーなどの領域です。一般的なゲーム用途であれば、価格や納期を含め他のBTOメーカーとも比較するのがおすすめです。
ZEUSの標準保証は何年ですか?+
公式の商品ページや法人窓口では、組み立て済みPCの無償修理期間を1年間としています。一方で、ブランドコンセプトでは3年保証や1年間オンサイトサポートをオプションとして案内しています。必要な保証内容は注文・見積時に確認してください。
