COLUMN — ストレージ環境

動画編集のキャッシュはどこに置く?
Premiere・After Effects・DaVinciのSSD階層設計

公開: 2026.09.13 | 更新: 2026.09.13広告・PR

Premiere、After Effects、DaVinci ResolveのキャッシュはどのSSDに置くべき?OS・アプリ・素材・Cache・Archiveを分ける動画編集PCのSSD構成を解説します。

動画編集のSSD階層設計とキャッシュ配置
※画像はイメージです。実際の製品・構成とは異なる場合があります。

動画編集用PCのSSDを考えるとき、

  • 「2TBで足りるか」
  • 「4TBにした方がいいか」
  • 「Gen5 SSDにするべきか」

という容量や速度から考えがちです。

しかし、動画編集環境が重くなってくると、もう一つ重要な問題が出てきます。
そのSSDに、何を置くのか。

OS。
編集アプリ。
プロジェクトファイル。
撮影素材。
プロキシ。
キャッシュ。
書き出しデータ。
完了した案件。

これらはすべて同じ「データ」に見えますが、役割はまったく違います。

だから動画編集PCでは、
SSDを何TB積むかだけではなく、SSDに何を担当させるか
まで考えると、ストレージ構成が整理しやすくなります。

CORE SPECの結論|最初からSSD3枚は不要。重くなったら役割を分ける

最初に重要なことを整理します。
動画編集だからSSDを必ず2枚、3枚に分けなければならないわけではありません。

現在の高速NVMe SSDは非常に速いため、フルHDや一般的な4K編集なら、1枚のSSDですべてを処理しても十分実用的なケースがあります。

一方、

  • 4K / 8K
  • RAW
  • マルチカム
  • After Effects
  • Fusion
  • 大量のCache
  • 複数案件を同時進行

と負荷が増えていくほど、
OS・素材・Cache・Archiveを分ける意味
が大きくなります。

基本的な考え方は、

SSD 1
OS / Application
SSD 2
Project / Footage
SSD 3
Cache / Scratch
NAS / HDD / Cloud
Archive / Backup

です。
ただし、これは「完成形」であってスタート地点ではありません。

まず1枚で始める。
必要なら2枚へ。
さらに重い制作で3枚へ。
それが現実的です。

8種類のデータは、すべて同じ性質ではない

動画編集PCに保存されるデータを整理すると、主に次の8種類があります。

データ 役割 速度重要度 失ったとき
OSPCの基本システム再構築可能
ApplicationPremiere / AE / Resolve等中〜高再インストール可能
Project編集内容・タイムライン非常に困る
Footage撮影素材非常に高原則取り戻せない
Cache再生高速化用一時データ再生成可能
Scratch / Proxy編集補助データ多くは再生成可能
Export完成書き出しProjectがあれば再生成可能な場合あり
Archive完了案件・過去素材速度より容量長期保管が重要

ここで重要なのは、
Cacheと撮影素材を同じ重要度で扱わないこと
です。

Cacheは速いストレージに置きたい。
しかし消えても再生成できます。

一方、FootageやProjectは失うと戻らない可能性があります。
ストレージ設計とBackup設計を分けて考える理由がここにあります。

なぜ「4TB SSDを1枚」だけでは解決しないことがあるのか

例えば4TBの高速SSDを1枚搭載し、そこへ、

  • Windows
  • Premiere
  • After Effects
  • Footage
  • Project
  • Media Cache
  • Disk Cache
  • Proxy
  • Export

を全部置いたとします。

これは決して間違いではありません。
シンプルですし、最近のNVMe SSDなら十分速いケースも多い。

ただ、制作中には同じドライブで、

  • 素材を読む
  • Cacheを書く
  • Cacheを読む
  • Exportを書く
  • OSやApplicationもアクセスする

という処理が並行します。

さらにCacheが数百GB単位に膨らむと、システムドライブの空き容量そのものを圧迫します。

つまり問題は「SSDが遅い」だけではありません。
高速な作業データと、一時データと、保存データが一つの場所へ集まりすぎる
ことです。

制作規模が大きくなったら、容量追加だけでなく役割分離も選択肢になります。

Premiere Pro|Media Cacheは高速SSDへ。専用ドライブは「理想」であって必須ではない

Premiereでは、読み込んだ映像や音声を効率よく扱うためにMedia Cacheを使用します。

Adobeは2026年の公式情報で、Media Cacheには高速SSDまたはNVMeを使い、可能なら専用ドライブを使うことを推奨しています。
一方で、必要であれば素材と同じドライブへ置いてもよいとも案内しています。

ここは重要です。
つまり、
Premiereを使うなら絶対にCache専用SSDが必要
という意味ではありません。

1枚の高速NVMeで快適なら、そのままで問題ありません。

しかし、

  • Cドライブが頻繁にいっぱいになる
  • 大規模案件を扱う
  • Cacheが大量に発生する
  • 複数プロジェクトを並行する

という環境なら、Media Cacheを別の高速SSDへ移す意味が出てきます。

古いCacheは削除できますし、削除されたCacheは必要に応じて再生成されます。
だからCache用SSDは、
高速であることを重視し、保全優先度は低くする
という設計ができます。

After Effects|Disk Cacheは「もう一つの作業領域」

After Effectsでは、Disk Cacheの影響がさらに分かりやすく出ます。
After Effectsはレンダリング済みフレームをDisk Cacheへ保存し、再生時に再利用します。
保存先フォルダと最大容量は環境設定から変更できます。

つまりAfter Effectsでは、
RAMだけでなく、Disk Cacheもプレビュー環境の一部
です。

特に、

  • 高解像度Composition
  • 大量レイヤー
  • 重いEffect
  • 長尺Composition

を扱う場合、Cacheが大きくなります。

複数のSSDがあるなら、空き容量に余裕のある高速SSDへDisk Cacheを置くことを検討できます。
ただし、Cacheを別SSDへ移しただけですべてが高速化するわけではありません。
CPU、RAM、GPU、Codecなど他のボトルネックもあるため、
ストレージ構成はシステム全体の一要素
として考えます。

DaVinci Resolve|Cache / Proxy / Galleryの保存先を意識する

DaVinci Resolveでも、CacheやProxyなどの生成データはWorking Folderとして保存場所を指定できます。
Resolve 20では、

  • Proxy
  • Cache
  • Gallery
  • Generated Media

などをプロジェクト単位で整理できます。

Blackmagic Designも、CacheのWorking Folderの読み書き速度が不足すると再生性能へ影響する可能性があり、必要に応じてアプリケーションやProjectとは別の高速ストレージへCacheを置く考え方を示しています。

特に、

  • RAW
  • Noise Reduction
  • Fusion
  • Color処理
  • Render Cache

を多用すると、Cache自体が非常に大きくなります。

Resolveでは、
Cacheの保存場所だけでなくCache Formatによっても容量が大きく変わる
ので、SSD容量設計とセットで考える必要があります。

構成A|SSD 1枚で始める

例:2TB〜4TB NVMe SSD × 1

保存:
OS、Application、Project、Footage、Cache
向いている人:
  • フルHD中心
  • 一般的な4K編集
  • 短尺動画
  • Hobby / YouTube
  • M.2スロットが少ないNotebook
  • 管理を簡単にしたい

最大のメリットはシンプルなことです。
「動画編集だからSSDは必ず複数必要」と考える必要はありません。

まず1枚で使い、
容量またはI/Oに困ってから増やす
でも遅くありません。

構成B|SSD 2枚に分ける

多くのデスクトップ制作PCでは、このあたりが現実的なバランスです。

SSD 1

OS / Application / Project

SSD 2

Footage / Cache / Proxy

メリットは、システム領域と大量の映像データを分離できることです。
素材とCacheは同じSSDになるため完全分離ではありませんが、

  • Cドライブ容量を守れる
  • 大量素材を別ドライブへまとめられる
  • Project管理が分かりやすい
  • 後から構成変更しやすい

という利点があります。

特にBTO購入時にM.2 SSDを2枚選べるなら、
巨大な1枚を買うか、2枚へ役割分担するか
を考えてよいポイントです。

構成C|SSD 3枚+NAS

制作負荷が大きくなったら、さらに分離できます。

SSD 1
OS / Application
SSD 2
Project / Footage
SSD 3
Cache / Scratch / Proxy
NAS
Completed Project / Archive

この構成の特徴は、
作業データと一時データと長期保管を完全に分けること
です。

向いているのは、

  • 長尺4K / 8K
  • RAW
  • VFX
  • 大量のAfter Effects Cache
  • Fusion
  • 複数案件
  • 数TB単位の素材
  • 複数PC

など。

ただしSSDが3枚になると、

  • M.2スロット
  • PCIe Lane
  • 発熱
  • Motherboard仕様

も確認する必要があります。
高性能SSDを挿せば全部同じ速度で動くとは限りません。

4TB SSD 1枚 vs 2TB SSD 2枚、どちらがよい?

容量はどちらも4TBです。
しかし、性格は違います。

4TB × 1

メリット:
管理が簡単、M.2スロットを温存できる、大きな連続空き容量を確保できる、Notebookなどスロットの少ない環境に有利
デメリット:
OS / 素材 / Cacheが集中する、障害時の影響範囲が大きい

2TB × 2

メリット:
用途を分けられる、システム領域と制作領域を分離できる、Cache増大でOSドライブが圧迫されにくい
デメリット:
M.2スロットを2つ使う、将来増設余地が減る、Motherboardによって接続帯域が異なる

つまり、
容量だけなら同じでも、拡張性と運用方法は違う。
M.2スロットが2本しかないPCで最初から2本埋めるのか。
4本あるDesktopで2本へ分けるのか。
ここまで含めて判断します。

CPU直結とチップセット接続も確認する

複数M.2スロットを使う場合は、Motherboardのマニュアルも確認してください。

M.2スロットによって、

  • CPU直結
  • Chipset経由
  • 他のPCIeスロットとのLane共有
  • SATAポートとの排他

など仕様が異なる場合があります。

一般用途では過度に神経質になる必要はありません。
ただし高性能GPU、複数SSD、Capture Card、10GbEなどを同時に使うWorkstationでは、
「スロットがある=全部同条件」ではない
ことは覚えておいた方が安全です。

キャッシュ用SSDにPCIe Gen5は必要?

必ずしも必要ではありません。

Cache用SSDで重要なのは、
最高ベンチマーク値だけではなく、十分な実効速度・容量・持続性能・温度管理
です。

PCIe Gen5 SSDは非常に高速ですが、発熱や価格も大きくなりやすい。
一方、現在の高性能PCIe Gen4 NVMe SSDでも、一般的な動画制作では十分高速なケースが多くあります。

そのため、
「Cache用だからGen5」
とは決めない方が合理的です。

極端なRAW、複数ストリーム、巨大なImage Sequenceなど、実際にストレージ帯域がボトルネックになる環境でGen5を検討します。

まず、

  • Codec
  • Bitrate
  • 同時Stream数
  • Cache量

を見てください。

CacheはBackupしなくていい。でもProjectと素材は守る

ストレージ設計で最も重要な違いです。

Media Cache。
Disk Cache。
Render Cache。
Proxy。
これらの多くは、元データが残っていれば再生成できます。

一方、

  • Original Footage
  • Project File
  • 自作Asset
  • 顧客データ

は再生成できません。

だから、
Cache用SSDが高速であること
と、
Projectや素材がBackupされていること
は別の問題です。

完成案件まで高速NVMeへ置き続ける必要もありません。

作業中はSSD。
完了したらNAS。
重要データはさらに別媒体へBackup。

このようにデータの時間軸まで含めて設計すると、SSD容量を無限に増やす必要がなくなります。

まとめ|SSDは容量ではなく「役割」で考える

動画編集用SSDは、
2TBか。
4TBか。
Gen4か。
Gen5か。
という数字だけで決めるものではありません。

もう一段深く考えるなら、
何を、どこへ置くか。
です。

軽い制作なら1枚。
素材量が増えたら2枚。
高負荷制作ならCacheを分離。
完成した案件はNASへ。
失えないものはBackupへ。

高速なSSDを「巨大な倉庫」として使うのではなく、
現在進行中の制作を支える高速な作業領域として使う。
それがCORE SPECの考える動画編集ストレージ設計です。

よくある質問

動画編集PCには最初からSSDが2枚必要ですか? +

必須ではありません。現在の高速NVMe SSDなら、一般的な動画編集では1枚構成でも十分実用的です。素材量やCacheが増えてCドライブを圧迫するようになったり、高負荷な4K / 8K・RAW・VFX制作へ進んだ段階で、2枚目以降へ役割を分ける考え方が現実的です。

Premiere ProのMedia Cacheは別SSDに置くべきですか? +

Adobeは高速SSDまたはNVMeを推奨し、可能なら専用ドライブを理想としていますが、必要であれば素材と同じドライブでもよいとしています。そのため別SSDは必須ではありません。大規模案件やCache容量が多い場合に分離する価値が高くなります。

4TB SSDを1枚買うのと2TB SSDを2枚買うのはどちらが良いですか? +

管理の簡単さとM.2スロット温存を重視するなら4TB×1、OSと制作データを分けたいなら2TB×2が有力です。性能だけで決めず、M.2スロット数、将来増設、MotherboardのLane構成まで含めて判断してください。

キャッシュ用SSDにはPCIe Gen5が必要ですか? +

必須ではありません。一般的な動画制作では高性能なPCIe Gen4 NVMeでも十分なケースが多くあります。Gen5は極端に高いストレージ帯域が必要なRAW・複数ストリームなどで検討し、最高速度だけでなく容量・発熱・価格とのバランスで選ぶのが合理的です。

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SSD階層構成の結論を見る →