Ryzen AI Max+ 395と128GBの大容量メモリを搭載するGMKtec EVO-X2。
そして、その後に登場したEVO-X3。
名前だけを見ると、
「EVO-X3はEVO-X2の上位モデルなのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、実際の違いはそれほど単純ではありません。
両モデルとも、
- AMD Ryzen AI Max+ 395
- Radeon 8060S
- 128GB LPDDR5X-8000
- Wi-Fi 7
- 2.5GbE
- デュアルM.2
というローカルAIの中心部分はかなり共通しています。
EVO-X3の大きな違いは、
OCuLinkを持つこと。
そして、4TB SSD構成や異なる筐体・冷却設計を選べることです。
つまり、
「EVO-X3だからローカルLLMが大幅に速い」
という比較ではありません。
単体で完結させるか、外へ拡張するか
CORE SPECでは、
同じ128GB AI PCを、単体で完結させるのか。それとも将来、外へ拡張するのか。
という違いで考えます。
30秒で分かる:EVO-X2とEVO-X3の違い
| 項目 | GMKtec EVO-X2 | GMKtec EVO-X3 |
|---|---|---|
| CPU | Ryzen AI Max+ 395(16C/32T) | Ryzen AI Max+ 395(16C/32T) |
| GPU | Radeon 8060S(40 CU) | Radeon 8060S(40 CU) |
| メモリ選択肢 | 64GB / 128GB LPDDR5X | 128GB LPDDR5X(標準) |
| 128GB+2TB価格 | 583,000円 | 607,999円(差額 24,999円) |
| 4TB完成構成 | 現行選択肢では未確認 | 649,100円 |
| M.2スロット | 2スロット(PCIe 4.0 x4) | 2スロット(PCIe 4.0 x4) |
| 最大内部ストレージ | 最大16TB | 最大16TB |
| 有線LAN | 2.5GbE | 2.5GbE |
| Wi-Fi / Bluetooth | Wi-Fi 7 / BT 5.4 | Wi-Fi 7 / BT 5.4 |
| OCuLink | なし | あり(PCIe Gen4 x4) |
| USB4 | 2ポート | 1ポート |
| DisplayPort | あり | 公式仕様表ではなし(HDMIのみ) |
| SDカードスロット | あり | 公式仕様表ではなし |
| 筐体寸法 / 重量 | 193 × 185.8 × 77 mm(ボックス型) | 353 × 186 × 41 mm(薄型横長・約2.3kg) |
| 向いている使い方 | AI専用機として完結 | 外部拡張も考える |
※価格は2026年9月30日確認時点(GMKtec公式)。販売価格・構成・在庫は変動します。
EVO-X2を選びやすい人
128GBローカルAI PCとして単体で完結させたい。
外部GPUを接続する予定がなく、購入価格を抑えたい人向け。
EVO-X3を選びやすい人
OCuLinkを使う明確な予定がある、または4TB完成構成を選びたい。
将来外部GPUやPCIe機器を接続したい人向け。
目次
- 1. CPU・GPU性能の中心部分は同じ
- 2. 128GBのローカルLLM性能を目的にするなら、X2でも条件は揃う
- 3. 同じ128GB+2TBなら差額は24,999円
- 4. EVO-X3の4TB構成は649,100円
- 5. 最大の違いはOCuLink
- 6. すでにRTX PCを持っているなら、OCuLinkは必要か?
- 7. 内部ストレージ拡張は、実は両方強い
- 8. ネットワークはどちらも2.5GbE
- 9. I/Oは必ずしもX3が上位ではない
- 10. 筐体の形もかなり違う
- 11. 64GBを選べるのはEVO-X2
- 12. 約2.5万円差を払う価値はある?
- 13. CORE SPECの判断
- 14. 結論:OCuLinkを使うかで決める
- 15. NEXT DECISION
- 16. よくある質問
CPU・GPU性能の中心部分は同じ
まず最も重要なのは、両モデルともRyzen AI Max+ 395を搭載していることです。
共通する主な仕様は、
- Zen 5 アーキテクチャ
- 16コア / 32スレッド(最大5.1GHz)
- Radeon 8060S(40 Compute Units)
- XDNA 2 NPU(最大50 TOPS)
です。
つまり、
EVO-X2からEVO-X3へ変えることで、CPUやGPUそのものが上位になるわけではありません。
128GB構成同士なら、ローカルLLMで利用できる大容量メモリ環境も同じRyzen AI Maxプラットフォームが基礎になります。
したがって、
「EVO-X3は新しいから推論も大幅に速い」
とは考えない方がよいです。
実際の持続性能は冷却、電力設定、ファームウェア、ランタイムなどでも変わるため、完全に同じとも断定できません。
しかし購入判断としては、
「CPU/GPUの世代差を買う比較ではない」
と理解することが重要です。
128GBのローカルLLM性能を目的にするなら、X2でも条件は揃う
EVO-X2には128GBモデルがあります。
Ryzen AI Max+ 395の128GB構成では、大きな量子化モデル、長いコンテキスト、RAG、AIエージェントなどを扱うための大容量メモリ環境を作れます。
これはEVO-X3でも同じです。
そのため、
「70B級以上のモデルを使いたいからEVO-X3」
という理由だけでは、X3を選ぶ根拠にはなりません。
CPUもGPUもメモリ容量も同じだからです。
大規模LLMをローカルで動かしたいだけなら、
EVO-X2 128GBでも目的は成立します。
同じ128GB+2TBなら差額は24,999円
2026年9月30日時点のGMKtec公式価格では、
差額は、
24,999円
です。
ここは重要です。
既存の比較では、EVO-X3の4TBモデル649,100円とEVO-X2 2TBモデル583,000円を並べる場合があります。
その場合の差額は66,100円ですが、SSD容量も2TB違います。
純粋にX2とX3の筐体・機能差を見るなら、
「128GB+2TB同士で約2.5万円差」
と考える方が公平です。
EVO-X3の4TB構成は649,100円
EVO-X3には128GB+4TBの完成構成があります。
2026年9月30日時点では、649,100円です。
X3 4TB構成とX2 2TB構成の差額は66,100円ですが、その差にはSSD容量2TB分も含まれます。本体機能差を見る場合は2TB同士で比較します。最初から4TB必要なら、SSDを別途購入・交換する手間を減らせます。
ただし、
「X3だけが大容量ストレージを使える」
わけではありません。
両モデルともM.2 2280 PCIe 4.0スロットを2基搭載し、GMKtec公式では最大16TBまでの内部ストレージ拡張に対応しています。
したがって、
「4TBを使いたいから必ずX3」でもありません。
違いは、「購入時点から4TB完成構成を選びやすいか」です。
現在の構成・販売価格を確認する
※2026年9月30日確認時点。価格・セール・在庫は変動します。
GMKtec EVO-X2 128GB
128GB共有メモリのローカルAI専用ノードとして本体だけで完結させるなら、X2が有力な選択肢です。
GMKtec EVO-X3 128GB
OCuLinkによる外部GPU接続や4TB完成構成など、将来の外部拡張経路を確保するならX3が視野に入ります。
最大の違いはOCuLink
EVO-X3を選ぶ最大の理由がOCuLinkです。
EVO-X3には、
OCuLink(PCIe Gen4 x4)
が搭載されています。EVO-X2にはありません。
OCuLinkを使うことで、対応する外部GPUボックスやPCIe機器を接続できます。
つまりX3には、
「購入後に外部GPUやPCIeデバイスへ処理を逃がす経路がある」
という違いがあります。これが、EVO-X2との最も明確な差です。
OCuLinkがあるからAI性能が上がるわけではない
ここは誤解しやすいところです。
OCuLinkを搭載しているだけでは、EVO-X3のローカルLLM性能は上がりません。外部GPUなどを接続して初めて意味があります。
したがって、
「OCuLinkあり = EVO-X3の内蔵GPUが高速」ではありません。
Ryzen AI Max+ 395とRadeon 8060Sだけで使うのであれば、X2とX3の演算コアは基本的に同じです。
たとえばEVO-X3へRTX 5090 32GBをOCuLinkで接続したとしても、128GB共有メモリと32GB VRAMが合体して160GBの単一メモリ空間になるわけではありません。
Ryzen側の共有メモリとNVIDIA GPUのVRAMは別のメモリ空間です。CUDA対応処理を外部RTXへ任せることはできますが、128GBの巨大な一枚VRAMになるわけではありません。
またEVO-X3のOCuLinkはPCIe Gen4 x4なので、デスクトップPCのPCIe x16と同じ接続条件でもありません。外部GPUを使う場合は、用途とデータ転送量まで含めて考える必要があります。
すでにRTX PCを持っているなら、OCuLinkは必要か?
ここはCORE SPECではかなり重要な判断です。
すでに、RTX 5090、RTX 5080、RTX PROなどを搭載した制作PCを持っている場合、EVO-X3にさらに外部GPUを付ける必要性は下がります。
むしろ、
「RTX制作PC + EVO-X2 128GB」
として役割を分けた方がシンプルな場合があります。
RTX制作PCが担当する処理
- ・CUDA / TensorRT 最適化
- ・ComfyUI / Stable Diffusion 画像・動画生成
- ・Blender / Unreal Engine 3DCG
- ・DaVinci Resolve / Premiere 映像編集
- ・日常の高負荷グラフィックス作業
EVO-X2 128GBが担当する処理
- ・70B級以上を含む大規模ローカルLLM推論※実際に扱えるモデルは量子化方式、コンテキスト、ランタイム等によって異なります。
- ・大容量RAG(ドキュメント検索・ベクターDB)
- ・コーディング支援AI(Cline / Continue / Cursor)
- ・自律型AIエージェントの常時稼働
- ・制作PC側のGPU/VRAM負荷を分離・軽減する
※RTX制作PCと128GB AIノードを2台に分ける構成については、「RTX制作PC+128GB AIミニPCという2台構成は有効?」で、LAN・API・NASまで含めて詳しく整理しています。
この場合、EVO-X2にOCuLinkがないことは大きな弱点になりません。
逆に、「PCを増やさず、現在はRyzen AI Maxだけで使い、将来的にNVIDIA GPUを追加して1台中心にAI環境を拡張していきたい」のであれば、X3のOCuLinkに意味があります。
つまり、
EVO-X2:完成したAIノード
EVO-X3:後から外へ広げられるAIノード
と考えると分かりやすいです。
内部ストレージ拡張は、実は両方強い
EVO-X3は「拡張性」が強調されるモデルですが、内部SSDについてはX2もかなり強力です。
両モデルとも、
- M.2 2280
- PCIe 4.0 x4
- 2スロット
- 合計最大16TB
に対応します。
そのため、大量のGGUF、Embeddingモデル、RAG用ドキュメント、ベクトルDB、AI生成データ、キャッシュを保存する用途なら、X2でもかなり大きなストレージ環境を作れます。
したがってX3の拡張性を、「SSDを増やせる」だけで説明するのは正確ではありません。
X3独自の価値は、やはりOCuLinkです。
ネットワークはどちらも2.5GbE
ネットワークも差がありません。
EVO-X2、EVO-X3ともに、2.5GbE、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4を搭載します。
そのため、「X3なら10GbEになる」わけではありません。
高速NASや複数PC間で巨大モデルを頻繁に移動するため10GbEが必要なら、MINISFORUM MS-S1 MAXなど別の選択肢も比較した方がよいです。
I/Oは必ずしもX3が上位ではない
興味深いのはここです。
EVO-X3はOCuLinkを追加していますが、すべての端子がX2より増えているわけではありません。
- ・USB4 ×2ポート
- ・DisplayPort ×1
- ・HDMI ×1
- ・SDカードリーダー
- ・USB-A 複数ポート
- ・2.5GbE LAN
- ・USB4 ×1ポート
- ・OCuLink ×1ポート(PCIe Gen4 x4)
- ・HDMI ×1
- ・DisplayPort(公式仕様表なし)
- ・SDカードスロット(公式仕様表なし)
- ・USB-A、2.5GbE LAN
つまり、「X3=X2に全部追加したモデル」ではありません。
I/Oの思想そのものが変わっています。
- X2:日常的な周辺機器やディスプレイ接続を本体だけで完結しやすい。
- X3:OCuLinkを使った外部拡張へ比重を置いている。
筐体の形もかなり違う
EVO-X2は、193 × 185.8 × 77mmです。
一方EVO-X3は、353 × 186 × 41mm(約2.3kg)です。
X2は比較的短く厚みのあるボックス型。
X3は横方向へ長く、薄い筐体です。
X3は公式仕様で、トリプルヒートパイプとトリプル冷却ファンを採用しています。
ただし、この違いだけから「X3の方が静か、または速い」と断定することはできません。
冷却性能や騒音は、同じ条件での実測比較が必要です。
64GBを選べるのはEVO-X2
もう一つ大きな違いがあります。
EVO-X2には64GB構成があります。一方、EVO-X3は128GBを標準とする製品です。
そのため、32B前後までが中心なので128GBはいらないという人は、そもそもX2の64GB構成を選ぶことで購入価格を下げられます。
つまりX2は、64GBから128GBまで選べる幅の広さも特徴です。
※64GBと128GBのどちらが必要か迷う場合は、「64GBと128GBのどちらが必要か先に判断する」で具体的なモデル境界を整理しています。
約2.5万円差を払う価値はある?
同じ128GB+2TBで、
- EVO-X2:583,000円
- EVO-X3:607,999円
差額は24,999円です。
この約2.5万円で得る中心的なものは、OCuLinkとX3独自の筐体・I/O設計です。
そのため判断は比較的シンプルです。
OCuLinkを使わない → X2で十分
OCuLinkを使う可能性が高い → 約2.5万円を追加してX3
「新型だからX3」ではなく、「追加される接続経路に2.5万円を払うか」と考えた方が合理的です。
CORE SPECの判断
EVO-X2とEVO-X3の違いは、性能の上下関係ではありません。どちらにもRyzen AI Max+ 395と128GBを選べます。
違うのは、その128GB AI PCを、完成品として使うのか。拡張可能な基点として使うのか。です。
すでにRTX制作PCがあるならX2という考え方
CORE SPECでは、「1台を最強にするのではなく、計算資源を役割で分ける」という考え方を重視しています。
すでにRTX制作PCがあるなら、
- RTX PC → CUDA・画像・動画・3DCG
- EVO-X2 128GB → LLM・RAG・Agent常時稼働
という構成で十分な場合があります。
逆に、PCを増やさずEVOシリーズ側へ外部GPUまで接続したいならX3。
どちらが上ではなく、「自分の計算資源をどのように配置するか」の違いです。
EVO-X2・EVO-X3の最新価格を確認する
価格・在庫・セールは変動します。
現在の構成を確認したうえで、EVO-X2(128GB+2TB)、EVO-X3(128GB+2TB)、EVO-X3(128GB+4TB)を比較してください。
特にX3は、2TBと4TBでは価格差があるため、同容量で比較することが重要です。
GMKtec EVO-X2
Ryzen AI Max+ 395・128GB共有メモリ搭載。USB4を2ポート備え、単体で完結するローカルAI専用機として導入しやすい構成です。
GMKtec EVO-X3
Ryzen AI Max+ 395・128GB標準。OCuLink(PCIe Gen4 x4)を搭載し、外部GPU接続や4TB完成構成を選べる拡張型モデルです。
結論:OCuLinkを使うかで決める
EVO-X2とEVO-X3は、見た目ほど性能差の大きい製品ではありません。
CPUもGPUも、128GB構成ならメモリ容量も同じです。
そのため、
ローカルLLM性能を求めるだけならEVO-X2。
外部GPU・PCIe拡張まで考えるならEVO-X3。
と考えるのが分かりやすいです。
同じ128GB+2TBなら差額は約2.5万円。
その差額を、「上位モデル代」として払うのではなく、
「OCuLinkという拡張経路を確保する費用」
として考える。それがEVO-X2とEVO-X3を選ぶ基準です。
よくある質問
EVO-X3はEVO-X2よりローカルLLMが速いですか? +
EVO-X2とEVO-X3はどちらも128GBを搭載できますか? +
EVO-X3のOCuLinkは何に使いますか? +
SSDはEVO-X3の方が多く増設できますか? +
ローカルLLM専用ならEVO-X2とEVO-X3のどちらですか? +
- GMKtec JP: EVO-X2 製品公式ページ
- GMKtec JP: EVO-X3 製品公式ページ
- AMD: Ryzen AI Max+ 395 プロセッサ公式仕様
- AMD Blog: FAQs: AMD Variable Graphics Memory (VGM), VRAM, AI Model Sizes, Quantization, MCP, and More
- CORE SPEC: 大容量ユニファイドメモリPC 5機種を比較
- CORE SPEC: Ryzen AI Max+ 395は64GBと128GBどちらを選ぶ?
- CORE SPEC: ユニファイドメモリとは?|VRAM・RAMとの違いとローカルAIで注目される理由
🧭 大容量AIメモリ選びの道標
容量、GPU演算、プラットフォーム、実機、配置。
今の迷いに合わせて、必要な判断へ移動できます。
VRAM・RAMとの違いと、大容量共有メモリがローカルAIで注目される理由を理解する。
モデルサイズ、コンテキスト、RAG・Agent運用から必要なメモリ容量を判断する。
モデルを収める容量と、高速に計算するGPU性能の違いから判断する。
MLX / macOSか、ROCm・Windows / Linuxか。実行環境とメモリ構成から選ぶ。
完成したAIノードか、OCuLinkで外へ拡張できるAIノードかを判断する。
1台へ集中するか、CUDA制作と大容量AIを別ノードへ役割分担するかを設計する。